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認定NPO法人綜合画像研究支援(IIRS)
第11回可視化技術ワークショップ
第16回アカデミックサロンのご報告

去る2017年11月11日(土)に、認定NPO法人綜合画像研究支援 第11回可視化技術ワークショップおよび第16回アカデミックサロンを以下のように開催いたしましたので、報告します。

日 時 2017年11月11日(土) 13:00〜18:00
場 所 東京大学武田先端知ビル5階 武田ホール

第11回可視化技術ワークショップ「研究開発の現場とその将来一次世代に繋げていくための技術と人材−」

プログラム

13:00〜13:05 開会の挨拶
九州工業大学大学院情報工学研究院 教授 安永 卓生
企業の研究開発現場の現状と将来 −待たれる技術と人材−
13:05〜13:45 「化粧品開発研究への電子顕微鏡の応用」
(株)コーセー研究所 基礎研究室 分析グループ 山下 美香
13:45〜14:25 「魚類不凍タンパク質の開発と実用化に向けた取組
−食品冷凍で培った技術の異分野への展開−」
(株)ニチレイ 技術戦略企画部 基盤研究グループ 石井 寛崇
14:25〜15:00 休憩&商業展示
顕微科学の将来を担う人材育成を考える
15:00〜15:40 「iPS細胞血小板製剤開発に貢献する電顕解析と急がれる次世代電顕形態学者育成」
宮崎大学医学部解剖学講座 教授 澤口 朗
15:40〜15:50 総合討論
敬称略

第16回アカデミックサロン
「指導者のあるべき姿とシステム」

プログラム

16:00〜16:10 「研究指導者育成に関する調査研究の成果に基づく将来への提言に向けて」
九州工業大学大学院情報工学研究院 教授 安永 卓生
16:10〜17:00 「異分野にみる指導者育成の在り方」
日本ラグビーフットボール協会 コーチングディレクター 中竹 竜二
17:00〜18:00 自由討論
「若手研究者及び研究指導者の育成に関する調査研究から抽出された課題と解決に向けた提言〜卵が先か親鳥が先か〜」
司会進行:安永 卓生・澤口 朗
敬称略
併設で、商業展示開催。参加企業の新製品情報などが展示されました。

主催者よりの報告

第11回 可視化技術ワークショップおよび第16回アカデミックサロンの企画者および一参加者として

安永 卓生(IIRS会員)

今回、日本顕微鏡学会・生体解析分科会と共催で、可視化技術ワークショップ及びアカデミックサロンを開催した。IIRSに関わり始めて2年になるが、こうした学びの機会を提供するIIRSの意義を改めて考える機会となった。アカデミアとして研究成果の発表の場としては各種学会があり、社団法人化に伴い,最近ではアウトリーチ活動も行っている。大学における産学連携も、通常は研究成果をシーズとした出口としての連携が多い。今回、そのフィードバックとして、産から学へ、あるいは産同士での情報の流れ、加えて、日本では学問分野となりにくく、個から個への暗黙知的伝達となりがちな指導者育成、などの共通性の高い分野の情報提供を実施する場となった。これもまた、IIRSの果たす役割であろう。

まず、「研究開発の現場とその将来一次世代に繋げていくための技術と人材−」として、コーセー研究所の山下美香氏とニチレイの石井寛崇氏にご講演を頂いた。山下氏の話のなかでは、化粧品と皮膚の関係の中で、その効果と電子顕微鏡のもつ意義を感じた。当大学の学生の中でも化粧品メーカーへの希望は多いが、どうしても合成側にのみ興味を抱き、今回のような視点をもつことは困難である。また、石井氏の不凍タンパク質の話はその応用のみならず、その機能そのもののメカニズムを是非とも知りたいと思わせ、他の方からもその意味での興味をもったという話を聞いた。産から生まれる研究シーズの例といえよう。昨年度より、企業に引き続き、企業現場における顕微鏡法の意義について学ぶことが出来た。アカデミアや自分自身の分野の学会での話のみを聞いていると、どうしてもこうした企業の開発現場での計測・分析法の応用への意識が薄くなる。自分自身が(情報)工学部にあることからも、ニーズをくみ取った研究といった立ち位置も重要になっている。やはり、こうした話は、所属している九工大の学生達に是非聞いてもらいたいと感じた。都会にあっては、こうした機会が多いことをうらやましくも感じる。場合によっては、映像発信なども会員へのサービスとしてはありえるのかも知れない。

次に、澤口先生のお話は、「顕微科学の将来を担う人材育成を考える」として、特に「iPS細胞血小板製剤開発に貢献する電顕解析と急がれる次世代電顕形態学者育成」とのお題だった。どこに電顕解析技術の律速があり、その点をクリアするためにはなにが必要かといった視点、すなわち、如何に誰でも利用できる技術とするかという視点で技術開発を行っている点で、興味深いものであった。従来の技術の継承・改善という観点を越え、器官・組織を対象として実際に手を動かして研究してきた研究者ならではの観察眼にもとづく「デザイン指向」の考え方が現れていると感じた。

最後に、アカデミックサロンでは、「指導者のあるべき姿とシステム」、異分野にみる指導者育成の在り方に学ぶとして、日本ラグビーフットボール協会のコーチングディレクター 中竹 竜二氏にご講演を頂いた。このとき興味深かったのは、1年前に指導者育成のために必要なことに関する調査を同ワークショップで実施したが、そこでは異分野に学ぶ意義を感じない、という結果になっていたことである。しかし、今回講演を聞いた後のアンケートでは、異分野に学ぶことに意義があると答えた割合は大幅に上昇した。学問分野として整理が進む欧米で学ばれ、個人としての体験を基礎に、理論に裏付けし、さらにそれを現在も実践し、普及活動も行っている中竹氏の言葉であるが故に、参加者に伝わったともいえる。こうした機会をIIRSとして提供することの意義でもあるといえる。

さて、内容のなかで興味深かったのは、聴く力、また、「フォロワーシップ」というキーワードである。WHY/HOW/WHATのうち、WHATに重きが置かれている中で、「なんで」と聴くことを通して、フォローワーそのものが考える活動が重要であるとの意識である。また、自分自身が行うのでは無く、自分ができることを無くしていけば、再現性のある組織になるというのは、目からウロコでもあった。これは、従来の研究室での指導の在り方に対応しているものであり、だからこそ、それを言葉に変えてもらえたことに皆が納得したのだと感じた。

全体を通して、多岐にわたる、私にとっては学びの多い時間となった。もっと多くの方に参加して頂けることを是非とも検討するべきであり、かつ、そう思える企画を継続的に実施する事の必要性を益々感じる機会となった。

参加者から頂いた感想

第11回可視化技術ワークショップおよび第16回アカデミックサロンに参加して:
「若手研究者・技術者の育成と指導者の理想像とは何か?」

山梨大学名誉教授(医学部) 大野 伸一 (元日本顕微鏡学会第56代会長;平成25〜27年)

先日、平成29年11月11日(土)に東京大学工学部武田先端知ビル5F武田ホールにて、上記の集会が開催された。その主催は、大隅正子理事長の綜合画像研究支援(IIRS) であり、日本顕微鏡学会・生体解析分科会との共催であった。私は平成25年〜27年まで、日本顕微鏡学会の会長職を務め、「若手研究者の育成」については、学会内での支援体制を構築してきたことがあった。現在は、平成28年5月から30年5月までは将来構想委員会の委員長として、新たに「若手研究者の育成と方策」の提言に向けて議論をしているところである。このたびは「研究開発の現場とその将来:次世代につなげていくための技術と人材」との本集会のテーマであり、当日は日常の地域医療の現場(緩和医療、看取り担当医)を離れて参加をしてみた。

最初の演題の(株)コーセー研究所基礎研究室の山下美香様の講演では、化粧品の品質管理には、電子顕微鏡の果たす役割が大きいことを知った。また、各化粧品の認可を厚生省審議会から得るには、製品の構造を視覚的に確認できる電子顕微鏡技術が役立ったとのことは、日本顕微鏡学会に関与してきた私どもの大きな喜びでもあり、これからも後継者の育成が望まれる。

次の演題名「魚類不凍タンパク質の開発と実用化に向けた取組」は、(株)ニチレイ技術戦略企画部石井寛崇殿からの講演であった。魚類から抽出された不凍タンパク質(Antifreezeprotein:AFP)は、氷結晶に直接結合して、その成長を抑制する機能を有する物質で、動植物が寒冷地において、凍結による危険から自らを守るために産生し、低温環境に適応しているとのことであった。このAFPの氷結晶成長抑制や再結晶化抑制は、今後の医学生物学や医療分野などに応用できると大いに期待している。特に約30年以上にわたり、生体内凍結技法により、生きた動物臓器内細胞組織の機能分子形態学像を探究してきた私にとっては、このAFPの応用により、将来にわたり「生きた形態学の夢」が拡がるものと確信している。

第3演題名「iPS細胞血小板製剤開発に貢献する電顕解析と急がれる次世代電顕形態学者育成」の宮崎大学医学部解剖学講座超微形態科学分野の澤口朗教授は、若い30歳代の頃から、日本顕微鏡学会で活躍されてきた貴重な若手研究者であった。特に「高圧凍結技法の医学生物学的応用」では、新たに重要な胃底腺細胞の機能的形態像を明らかにされた。今回は、電子顕微鏡技術をiPS細胞血小板製剤開発の品質管理評価に応用したものである。現在では、iPS細胞に由来する多くの細胞組織が、臨床的に応用され始めている。今後は、超微形態学的視点からの機能的評価の必要性が、さらに増すものと思われる。しかし一方、電顕解析を担う若手研究者の育成が、現在の緊急課題であると言われた。私も、今から約46年前の信州大学医学生時代から、電子顕微鏡の魅力にとりつかれて、現在に至っている。若い時の感動が、いかに大切であるかを声を大にして申し上げたいと思う。

次の第16回アカデミックサロンでは、演題名「指導者のあるべき姿とシステム」とのことで、日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター中竹竜二殿から「異分野にみる指導者育成の在り方」についての御講演をお聞きした。ここでは指導者の在り方により、チーム全体のモチベーションは、大きく変わることを述べられた。社会の中で分野を問わず「優れた指導者とは何か?」を考えさせられる内容であった。やはりトップに立つ指導者とは「何もできない。何もやらない。」とチーム(研究室)の選手(同僚)に助けてもらわないと、その地位にいられないという一見すると逆説的な「ダメ人間(上司)」であることが、大切だと学んだ。私の人生を振り返ると、何か思い当たることがあるが…。

第11回可視化技術ワークショップ並びに第16回アカデミックサロンに参加して

文部科学省科学技術・学術政策研究所上席研究官博士(医学) 岡本 摩耶

この度、第11回可視化技術ワークショップ並びに第16回アカデミックサロンにおいて、「研究開発の現場とその将来一次世代に繋げていくための技術と人材−」のテーマのもと、産学の皆様による御発表を拝聴する機会を頂いた。特に、ワークショップ前半の「企業の研究開発現場の現状と将来 −待たれる技術と人材−」では、産業界における人材育成の現状と課題について貴重な御意見を伺うことが出来た。

知識基盤社会においては、高度専門的職業人材が一国の経済の死活を制するといっても過言ではない。研究開発の現場においても、グローバルな舞台でリーダーシップを発揮できる高度な訓練を受けた人材が必要であることから、今後、若手研究者には、アカデミアの後継者としてだけでなく、社会の様々な場面で活躍することが期待されている。

このような専門性の高いワークショップやアカデミックサロンにおいて、学術的な内容のみならず、今後の当該分野における研究人材の在り方や育成についても議論する場を設けることは、我が国の科学技術競争力を高める観点からも、非常に有用で意義深いことと思われる。このような若手研究者の視野や将来の選択肢を広げるパワーを持った活動が、今後も継続して行われることを期待したい。

見ることの大切さ

九州大学医学部 名誉教授 天児 和暢

拡大レンズの発明により、肉眼では見えない物が次々に発見され、以来生物学は発展し続けてきた。同じように、天体望遠鏡の開発により、あまりにも遠くにあるため見えない物を観察出来るようになり、天文学も発展を続けている。形態的データは、視覚に訴えるデータなので理解しやすく、誰でも容易に納得できるという大きな利点をもっている。光学レンズ以上の解像力を持つ電子顕微鏡が、生物学の進展で果たした役割もとても大きなものがある。電顕自体の性能の向上もあるが、応用技術の進歩がより重要であった。ウイルスや細菌付属物の微細構造はネガティブ染色法の発明により、電顕の高性能解像力を生物試料に正確に応用でるようになり、可視化できるようになったのである。電顕開発から50年が過ぎ、既に最先端技術とは言えなくはなってはいるが、高性能な応用技術の開発もあり、電験が優れた研究機器であることに変わりない。しかし、この高性能の技術をいかに科学研究に応用していくかは、研究者の、何を見、何を知りたいか、と言う考えがまずは必要である、そして、それに適応した応用技術を選び出す、といった才能が問われているのである。

第11回可視化ワークショップに参加して

東北大学農学研究科 電子顕微鏡室(技術部)伊東 久美子(統括技術専門員)

学会のHPを閲覧する中で、本ワークショップの開催を知りました。大隅先生が理事長を務めていらっしゃるIIRSの活動は、以前から存じていましたので、一度はワークショップに参加したいと思っていましたが、日程的に合わずにかないませんでした。今回は都合が付けられそうでしたので、講演の演題は日常業務に直結するものではありませんでしたが、吸い寄せられるように参加してしまいました。

私自身の通常の業務は「電子顕微鏡室」となってはいますが、「室」には私一人しかいませんし、研究科の中に電子顕微鏡に詳しい教員もおらず、大学全体でも生物試料作製に詳しい技術職員はいませんので(教員はいると思いますが、、、)、試料作製のノウハウ等は書籍やインターネットで調べるか他大学や他研究機関の方々に教えを乞うしかありません。大学の技術職員歴としては既に27年目ですが、学内の異動で電子顕微鏡を担当するようになってからは10年目で、それまでは学生時代も含め全く経験がなかったため、今でも手探りの状況が続いています。私のところではヘビーユーザーはおらず、「超」を何個か付けたくなるくらいの「ライトユーザー」がほとんどで、研究者というよりは「初心者の学生」が大半なところは学会等に参加する皆様と違うところかと思います。私は一人で装置の維持管理、使用方法の指導、試料作製の助言等の電子顕微鏡業務を行いつつ、研究科全体の業務も担当するため、電子顕微鏡室の技術職員でありながら、試料を自分で作製することがないという、稀有な存在なのではないでしょうか。そんな私でも、今回のような経験を積み重ね、多くの研究者・技術者の皆さまのアドバイスいただいてきたおかげで、だいぶ耳年増になり、教員に対してもいろいろな提案ができるようになってきました。

コーセーの山下先生のお話では、「山下先生ほどの方でも初めは手探りだったとは!」と驚き、ニチレイの石井先生のお話では、(自分が水産学科の卒業だったため)電顕の話題そっちのけで魚の話に目が輝き、宮崎大学の澤口先生のお話では「私のところは一人しかいないから技術者の育成、、、できないな」と神妙になり、とどめはコーチングディレクターの中竹先生のお話でした。

現在、電子顕微鏡の担当者というだけでなく、大学の技術職員組織の中では管理職的立場にあります。電子顕微鏡に関することは、学会に参加する、装置メーカーに問い合わせる、他大学の同業者に聞くなど対応しようはありますが、管理者としては、管理者教育などないままにその役割を担うことになり、どうしたものかと悶々とする日々が続いています。中竹先生の「意識する、言葉にする、行動する」は私がいつも頭に入れていることで、「あ〜、同じように思う人がいるんだ」と大変安堵いたしました(逆のいい方をすると「行動できないことは言葉にしない」となり、消極的な印象になってしまうかもしれませんが)。

ご講演頂いた先生方だけでなく、ご挨拶いただいた大隅先生、安永先生のお話も大変ありがたく、帰りの新幹線に向かう足取りはとても軽やかなものでした。また、アカデミックサロンの会場で展示されていた書籍の中には「これだ!」と思うものが2冊ほどあり、中竹先生の著書と共に早速注文し、現在入荷を待っているところです。私はアカデミックな話題を提供できるような人間ではありませんが、今後も交流を持たせていただけるとありがたく思います。今回はこのような機会を設けていただき、ありがとうございました。

第11回可視化技術ワークショップおよび第16回アカデミックサロンに参加して

長岡技術科学大学 生物機能工学課程 生物資源工学研究室 北原 雪菜

微生物系の学部生です。現在は光学顕微鏡を用いて研究を行っています。先生方からこの講演会が勉強になるというお話を伺い、今回初めて参加しました。澤口先生のご講演は、電子顕微鏡を用いて細胞の品質を短時間かつ簡易に判断する方法の開発というお話でした。現場の実感を多く交えたお話しでしたので、とても理解しやすかったです。HPで詳細な技術や画像を公表されているそうで、電子顕微鏡を学ぶことに対してとりかかりやすいように感じました。

4つのご講演をお聞きして、知識や技術をどう伝えていくかについて具体的に考えることができました。今までそのようなことを深く考える機会が少なかったので、非常に有難く思います。

このような会に参加できたことを、心より感謝いたします。

本ワークショップに開催にあたり7社の企業に商業展示にご参加頂きました。ここにご協力いただきました企業名を掲載いたしますとともに深く御礼申し上げます。

  • サーモンフィッシャーサイエンティフィック
  • (株)真空デバイス
  • (株)システムインフロンティア
  • (株)ニコンインステック
  • 日本電子(株)
  • (株)日立ハイテクノロジーズ
  • ライカマイクロシステムズ(株)

以上7社になります。

写真集

  • 挨拶する大隅理事長

  • 座長を務める安永理事

  • 講演される山下様

  • 質問される天児様

  • 講演される石井様

  • 質問される宮澤先生

  • ワークショップとアケデミックサロンのプログラム

  • 休憩時間に歓談される参加者

  • 講演される澤口先生

  • 質問される大野先生

  • 質問される鈴木先生

  • 講演される中竹先生

  • アカデミックサロンでの乾杯の音頭をとられる
    天児先生

  • 日本電子(株)

  • (株)システムインフロンティア

  • ライカマイクロシステムズ(株)

  • (株)日立ハイテクノロジーズ

  • サーモンフィッシャーサイエンティフィック

  • (株)真空デバイス

  • (株)ニコンインステック

  • 閉会の挨拶をする安永理事

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