ごあいさつ 理事長
大隅 正子
理事長 大隈 正子

生物学は、研究の重点を形態面に置くかそれとも機能面に置くかによって様々にことなる学問分野を生み出してきました。前者の代表例は形態学や発生学、後者のそれは生理学や生化学であり、いずれも独自の発展を遂げて今日に至っております。しかし、こうした一方向的なアプローチだけで生命の本質に迫ることは到底できず、機能と形態を双方向的に結びつける研究の進展が長い間待望されてきました。これを可能にしたのが近年の分子生物学の発展と、それに歩調を合わせたかのような可視化技術(電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡など)の急速な進歩です。その結果、私達は生命現象のプロセスを遺伝子・分子の機能と直接関連づけて説明することができる時代をようやく迎えようとしております。

こうした新しい時代の生命科学を発展させるうえで大きな妨げとなっているのは、多くの研究機関では、最先端の可視化装置を利用しやすくする研究環境が整っていないことに加えて、そうした装置を操作するための高度な知識と技能を備えた専門技術者が著しく不足していることです。そのために、とくにわが国ではこの分野を必要とする研究を進めることが、ますます困難になりつつあります。

綜合画像研究支援(IIRS)は、こうしたわが国の現状を打開し、可視化技術の利用と普及をはかることを主な目的とするNPOとして、2004年に設立されました。具体的な活動としては、本NPOが擁する多数の優れた研究協力者の高度の専門的知識・技術と豊富な経験を最大限に活用した生命科学の様々な領域、とくに分子生物学領域における研究の支援、可視化科学・技術に精通し研究施設の運営にも携われる専門技術者の養成、さらに当該分野での国際協力事業などがあげられます。こうした活動を通して、IIRSは日本の生命科学と科学技術の発展に貢献すべく努めております。


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